正しさと分かりやすさについて。
基本的には反比例するものだと思う。
正しい文章とは,誰しもがそうだと納得できる,すなわち客観性のある文章で,長くて難しくなる傾向がある。
また,理解するために事前の知識も必要。場合によっては,その事前の知識や前提条件の解説から長々と書いてあることも…
一方,分かりやすい文章とはその反対で,客観性をあきらめ,特定の読み手に対して,概要だけ理解させる,というもの。
当然,詳しい説明や前提となる知識・条件などを思い切って省略するから,厳密には間違った内容になっていることが多い。
つまり,
正しい文章とは,読み手を限定しない客観性のある情報であり,直感的な理解を犠牲に,厳密さを重視した文章。
わかりやすい文章とは,ある特定の読み手に限定しカスタマイズされた情報であり,正しさを犠牲に大体の理解を重要視した文章。
といえる。
もちろんどっちがいいというものではなく,目的や状況に合わせてバランスよく使い分けるのが吉。
でも,最近はこういう使いわけについて理解されておらず,分かりやすい文章に対して「まちがってる!」と揚げ足をとったり,正しい文章に対して「読みづらい!」とクレームが入れる人がいる。
何とも世知辛い。
国語力がなさを嘆くというより,日本語の難しさを痛感することの方が多かったり。
例えばcmのような15秒程度で商品のPRをする,というような場合であれば,優先されるのは分かりやすさでしょう。
少ない時間で了承を取るための,パワーポイントによるプレゼンなんかもそうかも。
一方,契約書のような,読む人によって意味が変わったり,抜け・漏れがあったら困るような場合は,正しさが優先されるでしょう。
こういう使い分けを混同してしまうと,cmのラスト3秒間にびっしり読めるはずのない注意書きが書いてあったり,分かりやすいけど「こういう場合どうなるんだろう?」ということが読み取れない契約書が完成したりするのです。
情報の発信者が毅然とした態度で臨めるならいいけれど,不当なクレームなのにその要求を呑んでしまうケースも多くあります。
役所のHPなども,揚げ足を恐れて,長文の分かりづらい文章が並んでますよね。
どうしたものかと考えたけど,解決策が思い浮かばないな~。
やはりわかりやすさと正しさをどちらも併記するのが良いのかも?
cmでいう「詳しくは検索!」とか,
契約書でいえば,別資料で概要をまとめたものを作成したりとか。
なんだかありきたりな結論になっちゃったけど…
各業界がみんな頭を悩ませているんだなと思う一方,どうにかできないかと思うこの頃です。